JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
日本学術振興会インタビュー
海外特別研究員制度とはなにか?
日本学術振興会へのインタビュー
山梨大学 医学部 6年 奥村:雄一
海外留学や海外での研究に憧れる方は多いと思います。
しかし、実際に留学するとなるとハードルが高く、まず何をすればいいのか、分からない事が多いと思います。
特にお金については避けて通れない難題ですが、海外留学を志す研究者を支援する制度があります。

今回私は、若手研究者の海外留学を支援する「海外特別研究員制度」を設けている日本学術振興会様のオフィスに伺い、支援制度や研究者が海外留学をする意義などについてインタビューへ伺いました。

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海外特別研究員制度とは

日本の学術の将来を担う有能な研究者を養成・確保するため、優れた若手研究者を海外に派遣し、特定の大学等研究機関において長期間研究に専念できるよう支援する制度で、昭和57年度に新設された制度。
支援期間は2年間、支給経費は往復航空賃 (日本国内の移動分は除く)と滞在費・研究活動費(派遣国によって異なる。年額約380万円~520万円)。
平成24年度には178名(採用率20.0%)、25年度には192名(採用率23.7%)を採用。

参照:http://www.jsps.go.jp/j-ab/ab_user.html#user01

日本学術振興会は、名前の通り日本の学術を発展させることを目的とした機関です。
その中で海外特別研究員という制度がどのような役割を担っているのか、人材育成事業部企画官の佐々木康晴さん(写真左)と、海外派遣事業課海外派遣係長の麻沼美宝さん(写真右)にお話を伺いました。

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研究者自身の成長、そして海外の研究者とのネットワークの構築

はじめに、日本人研究者が海外留学する意義について伺いました。
これは大きく分けて2つあるそうです。

奥村:日本人の研究者が海外へ留学すると成長できるのは、どのような理由によるのでしょうか。

佐々木:まず一番大きいのは、外国の研究室に入ることでしか得られない経験ができることです。
特にアメリカなどの研究室では、様々な国から研究者が集まります。文化などが異なれば、当然ながら発想や感覚も違ってくるでしょう。それを肌で感じ、吸収することができれば、自身の発想の幅も広がります。
また、学術研究には国境がないので、学術研究で上を目指すには海外の研究者とも競争していかなくてはなりません。そのため、海外に出て実際に相手を知るということも将来の成長に繋がってくるでしょう。

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海外研究者とのネットワークの構築

佐々木:海外の研究室で2年間しっかり研究を行えば、自然とその研究室の人達と信頼関係が築けるはずです。さらに、海外の研究室というのは、日本の研究室と比べて垣根が低いとよく言われており、他の研究室の人ともすぐに仲良くなれるそうです。
そして海外生活を送ることで、留学をしている人にしか分からないような私生活での苦労なども経験することもできます。これにより、日本に戻ってから外国人研究者の苦労を理解でき、生活しやすいように手助けしてあげられるでしょう。

また、留学で得たネットワークと経験によって、帰国後に海外の研究者を日本に呼ぶことができたり、外国人研究者が日本に居やすい環境を作ることができるようになります。

つまり、日本の研究者が海外留学することで「日本人研究者が成長」し、「優秀な外国人研究者を日本に呼ぶ」ことができます。これこそが日本の学術研究の発展にほかならないと思います。こういったコンセプトのもとで、日本学術振興会は、海外留学をする日本人研究者に支援を行っています。

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「しっかり研究」

海外特別研究員制度について体的にお話を伺いました。

奥村:海外特別研究員制度の特徴について、ご説明をお願いします。

佐々木:この制度には、他の助成金制度とは大きく異なる特徴があります。それは、支援を受ける研究者に課される義務が、「しっかり研究をすること」のみだという点です。
留学中に論文を何編書きなさいなど、研究成果に関するノルマはありません。また、2年間の研究の後にすぐ日本に帰って来なければならないといった制約もなく、そのまま海外に残って研究を続けても構いません。
とにかく日本人研究者を成長させ、そして将来的に日本の学術研究を発展させること。それのみを考えた制度なのです。

さらに、平成27年度採用分から募集要項が一部変更され、年齢制限がなくなりました。これは海外留学を考えている医師、医学生には朗報でしょう。医師の世界では、初期研修の後に一度臨床の現場に出て、それから再び大学院に入り直して海外留学を目指すという人も少なくありません。そういった背景を踏まえ、ある程度年齢を重ねてから学位を取得した人にも支援の扉を開かせていただきました。

募集要項の主な変更内容
・年齢要件の廃止
・学位取得後の年数制限の措置
・人文学、社会科学分野における満期退学者について、満期退学後の年数制限を措置
・任期の定めのない常勤研究
・職在職期間の年数制限の措置

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奥村:海外特別研究員の選考基準について教えて下さい。

佐々木:審査方針は募集要項に載せている通りです。具体的には、日本にいるときから研究を頑張っているか、そして海外留学によってその研究を大きく発展させることが期待できるかという点を重視しています。

参考:募集要項 審査方針
1 海外での研究経験を通じて、学術の将来を担う優れた研究者となることが十分期待できること。
2 申請者が海外の研究機関で研究活動を行うことにより、研究環境を変えて、新たな研究課題に挑戦することを目指す研究計画や、派遣前に行っている研究を大きく発展させることが期待できる研究計画を有するものについて優先させること。
3 研究計画が具体的であり、申請者と海外における受入研究者との事前交渉等が十分になされていること。海外で研究活動を行うにあたり、相応の語学能力(英語であれば、 TOEFL(Internet-based)79点、TOEIC730点、英検準1級のいずれか程度)を有することが望ましい。

奥村:海外留学を目指す人にとって、TOEFL79点というのはそこまで高い点数ではないように思うのですが、その点についてはどのようにお考えなのでしょうか。

佐々木:たしかに、海外の大学に留学して、教授の英語での講義をしっかりと理解するには高い英語力が必要です。しかし、海外特別研究員は授業に出るわけではないので、研究室で他の研究者と1対1でのコミュニケーションが取れれば問題ありません。そのため我々はTOEFLで79点を取れる程度の英語力があれば十分だと考えています。

インタビューを経て

よりたくさんの人にこの海外特別研究員という素晴らしい制度のことを知ってもらい、そしてより多くの研究者が海外での研究生活を経て成長してほしいと強く感じました。
この海外特別研究員という制度がなければ海外留学が出来なかった研究者がたくさんいたと思います。
そして、この制度の支援によって、多くの研究者の方々が現在進行形で日本の学術研究を引っ張っているのだと感じました

将来海外で研究をしてみたいと考えている人は、ぜひともこの海外特別研究員という制度について調べていただきたいと思います。
(詳細は日本学術振興会ホームページにて:http://www.jsps.go.jp/j-ab/ab_user.html%23user01

最後に、今回のインタビューに応じてくれた日本学術振興会の佐々木さん、麻沼さん、そしてこのような機会を設けてくれたJGMSには大変感謝致します。本当にありがとうございました。

奥村 雄一

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