JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
児玉龍彦先生インタビュー
海外留学補助金とは?
公益財団法人アステラス病態代謝研究会インタビュー
筑波大学 医学専門学群
斎木俊一郎
海外への研究留学を望んでいてもそこには大きな壁が存在します。特に生活に必要な資金が一番のネックかもしれません。いくら自分に志と意欲と能力があっても研究はもとよりそこで生活をするにはやはり先立つものが必要になります。せっかく留学するからには全力で研究に取り組みたい、その思いを後押ししてくれるのが海外留学補助金です。

海外留学補助金とは

医学、薬学、生命科学において実績を持ち留学先での生命科学研究を通して人類発展の貢献を目指す研究者を応援するための補助金です。公益財団法人アステラス病態代謝研究会から1年以上の海外留学を対象に1件200万円(合計10件)が支給されます(平成26年度、変更の可能性について後述記載)。
参照:http://www.astellas.com/jp/byoutai/assist/abroad.html

今回は海外留学助成金によって毎年沢山の若手研究者をサポートしているアステラス病態代謝研究会・理事長の児玉龍彦先生に求める人物像についてお話を伺いました。

人類の知恵を引っ張る人を応援したい

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斎木:選考基準や、今までの交付者一覧を拝見致しましたが、とても多岐に渡っている事が印象的でした。選考過程で重視している事などを教えていただきますか?

児玉先生:我々は人類の知識を引っ張る人を応援したいと思っています。今まで解らなかった問題を解決し、その分野で世界一になる。いわばサッカーでいえばトップリーグで活躍する選手です。また応募者につきましても、人類全体に貢献すると言う明確な目標があれば分野はどこでもいいと考えています。

斎木:明確な目標意識と実行力を持つ研究者を応援なさっているわけですね。どのような方がその可能性を持っているのでしょうか。

児玉先生:我々の選考は今までの実績や本人の意欲で評価するのではなく、総合的に厳しく見ると言う事が特徴です。ですから結論としては最も人類に貢献できそうな人を選ぶというある意味で言えば一番厳しいものです。

ベーシックサイエンスと独創的な発想というのは二律背反のように考えてしまいがちですが、そうではないのです。「ベーシックサイエンスにおいては論文を沢山書いていればいいじゃないか」「独創性においては元気があればいいじゃないか」となりがちですが、私達が考えているのはやはりしっかりとした研究の見通しを持ちながら過去の研究経験で評価するのです。

斎木:日本の若手研究者がそのような求められる人材になるために国内で準備するべき事はありますか?

児玉先生:それは3つあります。1つ目は専門性を持った分野についてしっかり経験を積んでほしいと言う事です。1つの分野は絶対。だから薬学でもいいし耳鼻科学でもいいしきちんとした自分の専門分野で修練を積んでいくと言う事が必要ですよね。

2つ目は「こういう事をやりたい」と言う事を見つける力が大事です。留学も漫然と行くのではなくいったい何をやりに行くのか、自分がどういう課題で貢献しようとしているのかが明瞭になっているのが重要です。

そして三番目にはその明瞭になっているものに加えて、その人の熱意や伸びしろというかそのようなものがかなり大事です。要するに過去を「ここまでこうやりました」という話よりも非常に前向きに、厳しい所に入っても伸びて行ける事への期待がすごくあると思います。

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人類にとって一番必要な所へ行き、研究する

斎木:児玉先生ご自身も海外で研究されていましたが、やはり留学というものは厳しいものですか?

児玉先生:留学のように日本を飛び出して勝負すると言う事はいわば他流試合に参加すると言う事です。いままでのように守られた環境ではありません。我々は今まで人類が解らなかった事を解き明かしてくれる研究者を応援するわけですから、他流試合で悪戦苦闘しながらも前を向いて問題を解決していく能力が必要です。

本補助金はそういった能力を求めています。

斎木:医療研究・創薬に関して日本は欧米・特にアメリカなどの先進国と比べて遅れているなどと言われる事がありますが、日本と欧米では研究環境に差はありますか?

児玉先生:私は日本が遅れているとは思いませんが、様々な国が特徴的に進んでいる所、遅れている所があるという事です。

iPS細胞のように日本で頑張ってやるというものもあるし、そうかと思えば去年のノーベル化学賞の様にコンピューターと創薬をあわせたようなものはアメリカとかヨーロッパで進歩してきたというものも勿論あります。それで世界の人口の中で1億人そこそこしかいない日本で全部の進歩があるという様なことありえない。むしろ我々の財団で考えているのは世界で一番になるためにいろいろな事をやってほしい。

例えばアフリカに行ってエボラの研究をしたいというならば、それでもいいのです。我々が応援したいのは世界の第一線で人類の知識を引っ張るのに一番必要な所へ行き研究する人ですから、それが欧米へ留学する事とはイコールになりません。世界でいろいろな研究・創薬・診察などの現場に飛び出してほしいと言う思いが強くて、それを本気で実行しようという人ならどういう人でも押し出したい。

「三十にして立つ」を応援する

斎木:留学・研究を志す若手に助言をいただけますか?

児玉先生:現在の研究ではある一つの事が解ったからすぐさますべてが解決すると言う事はありません。人間は思っていた以上に複雑なのです。昔は抗生物質を入れれば短期的には良くなって行ったけど今では日和見感染などの問題が出て来てしまう、という複雑な問題になってきている。

だから今の若手の方達にお願いしたいのは、複雑な問題に答える為のアプローチが無いと駄目だよ、ということ。一つの専門分野で深い見方を持つと同時に、その中で起こってくる事態を解決するためのオリジナルなアイデアを持っていないと駄目だという事です。両方を持っていないといけないと言う事をお分かりいただければなと思います。そういうのを持っている人が留学に押し出して行くのに一番向いていると考えています。

論語の中に「我十有五にして学を志す。三十にして立つ」とあります。我々の研究助成の目的はこの「三十にして立つ」というのを応援しようというものです。まだ議論の段階ではありますが、現在一人当たり200万円というのを400万円に増やそうと考えています。要するにこの財団の助成だけで渡航費と一年間の生活費をまかなえるようにしたいのです。

若い間にいろいろな研究・経験をして自分を鍛えた上で、本気で世界で勝負をしたいと思ったらこの研究助成に応募していただけば本気で応援しますし、うるさい事も何もいわないでどんどんやりなさいと言うスタンスで応援したいと思います。

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インタビューを経て

アステラス病態代謝研究会の海外留学助成金は分野・行き先に制約がなく、「本気で世界と勝負」することを後押ししてくれる助成金だと感じました。海外での真剣な研究活動を考えている方はこの海外留学助成金を調べて頂きたいと思います。

公益財団法人アステラス病態代謝研究会

最後に、今回インタビューに応じて下さったアステラス病態代謝研究会・理事長の児玉龍彦先生に感謝を述べたいと思います。またこの様な機会を下さったJGMSに感謝致します。

斎木俊一郎

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2018年3月24日(土)
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