JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
医療留学体験記(ボストン留学体験記)
徳島大学病院 腎臓内科 助教 岸 誠司
Harvard Medical School/Brigham and Women’s Hospital
(Research Fellow, 2012年9月~2015年8月)

留学先都市の情報

7年間の市中病院での内科・腎臓内科医としての勤務の後、大学院に進学。学位を取得し、もう少し研究を続けたいと思っていましたが、臨床の教室で両立を目指す前に海外でポスドクとしての経験を積みたいと思いました。ただ、医局とのつながりのあるようなラボは無かったので、そこから行き先探しと留学助成金獲得のための戦いが始まりました。その際には、慶応大学門川教授の管理されている「研究留学ネット(http://www.kenkyuu.net/)」ならびに著書である「研究留学術」(医歯薬出版)に大変お世話になりました。CVを送って、返事を待つという形で留学先探しを始めましたが、最終的にはアメリカ腎臓学会に参加した際に、直接アメリカでのボスとなるHarvard Medical SchoolのJoseph Bonventre教授に自身の学位論文を持参して突撃。面談の結果、競争的資金(留学助成金)の獲得が出来たら受け入れるという返事をもらいました。最終的には、1年目:住友生命福祉文化財団、2年目:日本老年医学会、からの助成を頂くことができ念願がかないました。

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滞在都市、ボストン

この留学体験記にすでに数名の方がボストンについて書いておられますが、異常に高い家賃と冬の寒さは少々手強いですが、治安もよくとても住みよい街です。少し足を延ばせば大都会NY、ニューハンプシャー州・メイン州といった自然の美しい州を越えカナダへも車で行ける恵まれた場所です。4大プロスポーツも揃っており、中でもボストンレッドソックスは現在も上原投手、田沢投手が所属しており日本人にもとてもなじみのあるチームではないでしょうか。

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留学先、ならびに研究内容

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私の所属するラボはBrigham and Women’s Hospital(BWH)というハーバード医科大学院のRenal division中最大のラボでした。ボストンのLongwood地区に位置しHarvard Medical Schoolや世界最大の糖尿病の研究施設であるJoslin糖尿病センターなどとともに巨大なmedical complexの一角を占めています。さらにRenal divisionは世界で初めて腎移植を成功させた施設であり研究、臨床ともに数々の業績をあげています。ボスであるJoseph Bonventre教授は1998年にKim-1という分子を発見して以来、腎臓病領域では世界的な研究者です。現在は、従来からのラボのメインテーマである急性腎障害の再生/慢性転化を支配する分子機構や治療薬開発に加えて、多能性幹細胞を用いた再生分野の研究も行っており、昨年Nature Biotechnology誌に最新の研究成果が出たばかりです。わたしも自身のプロジェクトとして3つのプロジェクトを任せて頂き、さらに1つのプロジェクトにメンバーとして仕事をしました。まだ論文化に至っていないものがあり、何とかせねばと思う日々です。

現地での生活、英語

私は家族と一緒に渡米しました。異国の地でどこに住むのかは非常に大きな問題ですが、私はボストン留学経験のある知り合いの先生の情報をもとに、日本にいる間に住居を決めていきました。最近はとても便利で日系の仲介業者もあります。生活でのトラブルと言えば、セットアップの際にIKEAで購入した家具が“運送会社が荷物を無くしたので配送できない、見つけ次第届けます”という日本ではありえないような事態に襲われました。それならいらないとRefundし、また家具を買い直し、今度は自分たちで運ぶという経験をしましたが、結局のところ最初にそういった経験ができたことが後々にストレスを大きく感じず、トラブルなく過ごすことができたことにつながっていったと思っています。また、医療制度が日本と大きく異なることが家族を連れての留学では大きな問題となることがありますが、BWHが提供する保険に加入すること出来ましたので、とても助かりました。その中で、保険でカバーされない超高額の歯科医療費を払ったことや、アメリカで長男が誕生したことは日本で医療に携わる立場としてはとても良い経験になりました。
“アメリカの食事はまずい”というイメージがありますが、ボストンはシーフードがとても豊富であり、日本人にはうれしい環境です。また、どうしても日本食が恋しくなりますが、ボストン近辺には数件のラーメン屋もGyukakuもあり非常に恵まれた環境でした。

英語については、卒後最初の2年間を市立舞鶴市民病院で過ごし、そこでアメリカ人医師からアメリカ式の医学教育受ける機会に恵まれました。“その時の経験でなんとかなるんじゃないか?!”と思っていたのですが、インタビューを受けることを想定し、英会話学校に留学先を探し始めた時点で通い始めました。そこで、通じるというだけではなく、文法的にしっかりした会話をする重要性を教えられ、継続の必要性を感じ、渡米後もアメリカ人との英会話レッスンは続けました。

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留学を振り返って

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論文を書くことはもちろん自身のキャリアアップには最重要なことかもしれません。
しかし、最大の財産は世界中にネットワークができたことだと思っています。同じ時期にポスドクとして過ごした友人たちの中にはすでにPIとなりラボを運営している友人が大勢おり、共同研究あるいは留学希望者をポスドクとして送らせてもらうなど、今後の発展を大いに期待しています。また、日本人同士のつながりも非常に素晴らしいものができました。同業者である腎臓病研究者の集まり、研究留学中の医師の集まり、ボストン日本人研究者交流会等、いくつもの素晴らしい集まりがありましたが、最も印象に残っているものの一つに、“ロングウッドで朝食を”という月曜朝6時半からの朝食会があります(https://www.facebook.com/groups/breakfastatlongwood/)。誰でも参加できるというオープンな雰囲気とコーヒー片手に医学生物学系はもちろんのこと、それ以外の研究者の方の実際の研究内容をお聞きできるというとても素晴らしい会でした。この貴重な財産を発展させることが次の大きな課題です。
最後に後悔したことを1点だけ。私は海外学振や上原記念生命科学財団といった大型の留学助成金には採用されませんでした。大型の助成金は,その額はもちろんのことその後の留学生活に弾みがつくことも間違いのないことであり,その採択の可能性を上げるのは間違い無くこれまでの業績です。大学院に入る前から,こつこつと論文を書いておくべきだったなと反省しています。
帰国して早半年。マウス実験を中心に臨床教室で基礎研究の継続を目指してセットアップ中ですが、やはりボストンでの経験は自身にとって大きなプラスだったと日々実感しています。留学を志す皆様が充実した留学生活を送られることを祈念いたしまして私の留学体験記を終わらさせていただきます。

今後の講演会情報

第14回JGMS講演会
2018年3月24日(土)
17:00-18:30
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