JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
ボストン留学体験記〜歯学部編〜
永野健一 DDS, Ph.D.
Harvard School of Dental Medicine, Department of Oral Medicine,
Infection and Immunity, Baron Lab
Postdoctoral Research Fellow

留学先都市:ボストン

私の留学先であるボストンは、アメリカ大陸東海岸に位置するマサチューセッツ州の州都です。人口は65万人ほど(2009年)で、1万人程度の日本人がボストン近辺に在住しています。

ボストンの姉妹都市として京都市がありますが、日本における京都の位置付けと似たような雰囲気がボストンにはあり、アメリカの歴史と文化を街並から感じることができます。

気候は日本と同様に四季があり、冬が長く夏が短いのが特徴です。特に冬の最も寒い時期はマイナス20度まで気温が下がることもあります。東京から移ってきた身にとっては非常に厳しい冬ですが、慣れてくるとマイナス一桁程度では動じなくなってきます。

ボストン周辺の治安は一部の地域を除けば非常に良く、全米で最も安全な街の一つとされています。

ボストン市のお隣ケンブリッジ市にはHarvard 大学やMIT(マサチューセッツ工科大学)と言った世界屈指の研究施設があり、文化面だけでなく学術面においても世界的に重要な都市圏となっています。

留学先研究室

私が所属するHarvard School of Dental Medicine(HSDM)はボストン市内のLongwood Medical Area内に位置しています。Longwood Medical AreaにはHarvard Medical Schoolを始めとして、医療系関連施設が集約されています。

HSDMは1867年に設立され、現在、歯科医学教育、歯科臨床業務、基礎医学研究の3本柱をメインに、地域と世界中の人々の健康に寄与すべく業務を行っています。

私が所属しているBaron LabはHSDMにおける基礎医学研究を担っていて、骨代謝がメインテーマです。私の身分はポスドク(博士研究員)で、他に12名の研究員が所属しており、各々の裁量でプロジェクトを進めています。ラボメンバーのBackgroundは多岐に渡っていて、Scienceに対する考え方の違いからラボミーティングでの議論が過熱することもあります。

ラボメンバーの出身国もまた様々で(10か国)、毎日が異文化コミュニケーションの連続です。しかしながら英語の壁はいまだ大きく立ちはだかっており、渡米してすでに1年半が経過しましたが、自分の思うように事が運ばないのが大半です。そんな中でも一歩ずつでも前に進むべく日々仕事をしています。

留学の経緯

私が初めて留学を意識したのは、大学院4年時の国際学会での発表でした。それまで国内学会しか経験しなかった自分にとって国際学会は、規模も研究の多彩さも全く別世界のもので、衝撃を受けました。さらに、もっと世界を見てみたいと漠然と考えるようになり、留学を意識するようになりました。

実際に留学が決まったのは大学院卒業後1年と少ししてからで、大学院在学時に学んだ解析手法を最大限生かせるラボに留学が決まりました。可能なら早めに来てほしいとのことで、ボスと初めて話をしてから4か月後にはボストンに降り立っていました。巷の研究留学情報では大抵6か月以上かかると聞いていたので、あまりのスムーズさに少し戸惑いましたが、どうやらそのときの秘書さんが特別に優秀だったようです。また初年度から給料を頂けることになり、各種留学助成金(海外学振、上原など)を取得することが叶わなかった自分にとっては幸運なことでした。

留学といえば必須の英語については、留学準備期間が4か月しかなく非常にバタバタしていて、英語の勉強を行うことができないまま渡米しました。生活していくうちに耳が英語に慣れてきますが、欲を言えば英単語の勉強をしておくべきだったと少し後悔が残ります。

現地での生活

私は、妻と当時4歳の娘を連れていっしょに渡米しました。生活のセットアップについては、Boston Internet Community(BIC)という在ボストン日本人のためのサイトを通じて住まい及び家具一式を引継できることが決まり、時間とお金を大幅に節約できました。
こちらの賃貸契約は原則1年で中途解約は受け付けてくれません。その代わり、賃貸契約の引継ができるようになっています。BICにはこのような引継情報やその他の生活情報がやり取りされていて、現在も活用しています。

ボストン近郊は非常に家賃が高い街として有名です。現在の住まいはボストンの隣町ブルックラインにあるマンションの1 Bedroom(日本でいうと1LDK)で家賃は月々2000ドル(光熱費込)です。これでも安い方で、子どもが2人いる場合は2 Bedroomに入居することが多く、最低ラインが月々2300~2400ドルになるようです。
経済状況は非常に厳しいですが、通勤のしやすさ、治安の良さを考えると相応の価値はあると考えます。なお、ボストン近辺は公共交通機関が発達しており、市内では車の必要性をあまり感じません。車が必要なときはZipCar(カーシェアリング)を利用しています。

医療保険に関してはHarvardを通して加入しています。月々260ドルが給料から天引きされていますが、保険でカバーできる範囲が広く医療費を払うことはほとんどありません。妊娠・出産も保険でカバーされており、ボストンで生まれた次女の出産費用についても持ち出しはほとんどありませんでした。

食事に関して、ボストンはロブスターとクラムチャウダーが有名です。特にクラムチャウダーは店によってスタイルがそれぞれあり、好みの味を探す楽しみがあります。また日本食レストランもあります。日本でおなじみの牛角(ラボメンバーで行ってとても好評でした)、ラーメン、寿司屋、カレー屋などがあり、中でも二郎系ラーメンの「Yume wo katare」が気に入っています。

現在の住まいの近くにはTrader Joe’s, Stop&Shop, Star market, Whole Foodsと4つの現地スーパーがあり、日常の買い物に困ることはありません。少し離れた中華系または韓国系スーパーへ行けば日本の食材も手に入るため(価格はやや高め)、とても重宝しています。

教育に関して、現在娘は6歳で現地の公立小学校に通っています。土地柄なのか、様々な国の子どもが通っていて国際色豊かです。そのため非英語圏出身の子どもが英語を習うクラスがあり、さらに日本人教師も在籍しています。時々つまづきながらも楽しく過ごしている様子で、貴重な経験として娘の記憶に残ってくれればと思っています。右の写真はHalloweenの仮装をクラス全体で行った時のもので、めいめいが仮装を楽しんでいました。

ボストンはコンパクトな中に生活に必要なものがぎっしりと詰まっていて、生活のしやすい街だと思います。

留学して悩んだこと、良かったこと

留学して特に悩むのは、日本的な常識とのギャップです。仕事においても日々の生活においても、これまでの考え方を大きく変える必要がありました。まだギャップを埋め切れておらず、戸惑うこともあります。このギャップを解消して、今後生かせる部分を日本に持ち帰るのが今の目標です。日本国内では経験できないことなので、貴重な体験をしていると思います。

これは留学の良かった点にもつながります。日本式とは違う考え方を体感し、視野を広げることができました。時間に対する考え方も異なっており、日本にいた時よりも時間をゆったり使うことができ、家族と過ごす時間が増えました。他に良かった点として、ボストンには医療系以外にも様々な人材が集まってきており、研究者としての人脈はもちろんのこと、他分野での人脈形成もできました。これも今後日本に戻った時に、留学の貴重な財産として大いに生かしていきたいと思います。

参考文献、ウェブサイト

研究留学術 第2版―研究者のためのアメリカ留学ガイド(門川俊明 編著 医歯薬出版)
研究留学ネット http://www.kenkyuu.net/
Boston Internet Community http://www.asagao.com/bic/

今後の講演会情報

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2018年3月24日(土)
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