JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
ロサンゼルス サンタモニカ留学体験記
太田 勝也 M.D., Ph.D..
John Wayne Cancer Institute at Saint John’s Health Center
大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座消化器外科学

留学先都市の情報

私の留学先であるJohn Wayne Cancer Instituteはカリフォルニア州サンタモニカ市にあります。サンタモニカ市を含むロサンゼルス都市圏内は、87,941km²で、人口は1763万人であります。日本の京阪神都市圏(11,169km²、人口1864万人)より小規模ではありますが、映画産業を初めとして世界への情報発信力が強いことで有名です。
地域の人口は、世界第14位、北米ではニューヨークに次ぐ第2位であります。全人口の46.5%がヒスパニックもしくはラテン系であり、また全人口のうち41.7%がスペイン語話者であり、英語の42.2%とほぼ同数であるなど、全米一のスペイン語人口を抱える都市としてヒスパニック文化の中心地となっております。


緯度が高知県と同様の位置にあり、砂漠気候なので雨が降らず、1年を通して温暖で非常に生活しやすい地域であります。近くにはサンフランシスコ州立大学ロサンゼルス校(UCLA)があり、世界中からの留学生が学識を深めております。ロサンゼルス都市圏は広域であり、交通手段に車は欠かせないため、渡米直後に住居の手配と同時に念願のアメリカ製RV車を購入しました。

John Wayne Cancer Institute

私の所属するJohn Wayne Cancer Instituteは、Saint John’s Health Center病院に隣接されたがん研究施設です。Saint John’s Health Centerは、外科医であればご存知だと思いますが、Melanomaのセンチネルリンパ節郭清術を世界で始めて行った病院として有名です。1981年に胃癌で亡くなった俳優のJohn Wayneの意志を受け、その家族らががん撲滅を大義とした基礎医学研究所を病院に併設したのが、John Wayne Cancer Instituteです。


Dave S. B. Hoon博士が主宰される当研究室Department of Molecular Oncologyは、病院との密接な連携から、がん患者の臨床検体を豊富に駆使した研究や世界各地の研究施設と共同研究を多数行い、その最新知見は多数の論文上で発表しています。

ラボでのポジションは博士研究員(Postdoctoral Fellow)、いわゆるポスドクです。私に与えられた研究テーマは、幸いにも大学で研究していた、癌のエピゲノム領域についてです。エピゲノムはがん化に関わる数学的な計算も必要としており、ベンチワークのみならずいわゆるin silicoデザインの構築についても勉強しています。


最先端のテクニックも駆使しており、論理的に考えることが多く、日々悪戦苦闘、一進一退を繰り返してはいますが、少しずつ進んでいる実感があります。私は外科医ですので、Saint John’s Health Centerの外科の手術見学も同時にさせていただき、勉強させていただいております。

留学の経緯

私は2010年4月から大阪大学消化器外科教室で大学院生として、主に消化器癌の勉強をしておりました。大学院入学当初に興味本位で留学希望という欄に丸をつけたことは憶えていましたが、忙しさのあまり留学など考えもしていませんでした。2年9ヶ月が経過した2012年12月、突然、米国行きのチャンスが訪れました。助成金の応募や英語、TOEFLなどの勉強は全くすることなく、3ヵ月後には米国にいました。

ロサンゼルス市民の半分はスペイン語を話すので、私たちの下手な英語にもやさしく接してくれます。無計画な渡米でしたが、“習うより慣れろ”の精神で、今では楽しく過ごしております。

渡米を命じられた次の日からe-mailで現地の方々とのやり取りや、申請書、ビザの取得、住居の確保、車選びなどを始めました。そのときに重宝した本をこの文章の最後で紹介しておきます。

生活情報

私と妻と2人の子供は、2013年3月から2年間の予定で渡米しました。それと同時に、2008年製造Ford Explorerを購入しました。車両保険などを含めた車への初期投資の総額は、180万円程度だったと思います。


近隣の地域はRalphsやTrader Joe’sのような現地の大きなスーパーだけではなく、MITSUWA、NIJIYA、MARUKAIといった日系大手スーパーまで存在し、ロサンゼルス郡は世界一の日系マーケットを有する地域です。そのため、野菜(ねぎ、大根、みょうがや大葉など普通に並んでます)、魚の刺身や生卵のような生鮮食品、各種調味料、日本製の家電製品など、買い物には全く困りません。


外食はステーキやハンバーガーだけでなく、世界各国の料理が味わえます。メキシカンやイタリアン、フレンチ、すし屋、ラーメン屋、中華料理、韓国料理、インド料理、ベトナム料理何でもあります。写真は米国Maine州出身のロブスター、カリフォルニア名物フィッシュタコスです。


ロサンゼルスは非常に多数のラーメン屋がしのぎを削り、日本へ逆進出をしてしまうほどレベルが高い店まであります。ここでは、豚骨醤油ラーメンがベースのようです。値段はチップを払うと10-15ドルと少し割高です。

私たちはロサンゼルス市のWestwoodと呼ばれるUCLAの近隣地域にある、2ベット2バスのコンドミニアムに居住しております。家賃は2.100ドル/月と少し高いですが、子供もいるので静かな住環境と安全な治安から選びました。Saint John’s Health Centerが加入している医療保険は、140ドル/月の負担でFull Coverageで医療が受けられます。しかし、救急医療は日本とはシステムが全く違い、その医療保険に登録されている病院群でしか受診できず、緊急性がなければ当然後回し、通常の受診は早くても3日後くらいに予約が取れるといった状態です。

ちなみにSaint John’s Health Centerが加入している医療保険にもかかわらず、Saint John’s Health Centerは登録されていません。小児医療は検診から予防接種まで全てカバーされており、無料です。ご存知のように、米国も国民皆保険にしたようですが、個人で加入するには高額でかなり問題があるようです。生鮮食品は安くて量もありますが、家賃や教育費は高く、全体的な物価は大阪と比べて1.5倍くらいだと思います。

留学して悩んだ事、良かった事

海外留学によって、将来的な研究への知見の習得だけではなく、英語力を培うことができています。また、日本のしきたりや常識が通用しないという、貴重な経験ができています。現地の幼稚園へ頑張って通っている長男もしかりであります。時に困り、悩みますが、その経験が我々の中で蓄積されていく実感があります。


右の写真は、移植医療では欠かせないHLAタイピングを開発したDr.Terasakiが主催される、「ニベイの会」と呼ばれるロサンゼルス近郊で活躍されている日本人医師の月例集会での風景です(クリスマスパーティーを行いました)。こういった会に出席することで、帰国後の人脈形成へのチャンスにも繋がっています。

おすすめの文献、参考図書

「研究留学術 研究者のためのアメリカ留学ガイド」
門川俊明編著 医歯薬出版株式会社 ISBN4-263-20171 Letters for a Scientific Career
「相手の心を動かす英文手紙とe-mailの効果的な書き方」
Ann M. Kӧrner著 瀬野悍二訳編 羊土社 ISBN4-89706-486-9

今後の講演会情報

第14回JGMS講演会
2018年3月24日(土)
17:00-18:30
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