JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
ボストン Tufts大学留学体験記
菅谷哲史 M.D. Ph.D
日本大学視覚科学眼科学分野
Tufts University School of Medicine
New England Eye Center Vision Research Lab

現地情報

Which are the safest states?
ボストンはアメリカ北東部New England地方にあるマサチューセッツ州の州都になります。アメリカ建国はイギリスから宗教的迫害を受けた移民が大西洋を越えてきたのが始まりですが、その地がボストン近郊にあり、そういった意味でもアメリカの原点とも言えます。アメリカがイギリス本国と戦った独立戦争もこのボストンで火蓋が切られました。
 
昔は造船業などの産業が栄えましたが、現在の主要な産業はライフサイエンス産業、ハイテク産業、金融業になり、それを支える根幹には全米一といっていいハーバード大学やMITなどの教育研究機関が存在することにあります。

2013年のボストンの人口は約63万人となり、20年前と比べると約9万人が増加しています。全米では現在3億2000万人の人口がおり、1年ごとに0.9%人口が増加しています。これは毎年280万人増えていく計算で、日本のように人口が減っていく国からすると、人が増えることで家の値段が上がっていくインフレの経済状況に戸惑うことも多いです。ボストンでは契約更新のたびに家賃が値上がりすることが多いです。またボストンは日本でいうと札幌と同じ位の緯度にあり、気候は北海道をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。冬には時に零下15度位の寒波の襲来を経験し、12月から3月までは積雪も残ります。白い雪景色の冬、色彩豊かな春、深緑の夏、黄色の秋と一年を通して四季がはっきりとしています。

治安は、一部に危険な場所がありますが総じて住みやすく、滞在期間中に危険を感じたことは一度もありませんでした。2014年全米で最も安全な州としてWallet Hubというサイトから評価されています。2013年のボストンマラソン爆発テロ事件が記憶に新しいことが残念ですが、それは長いボストンの歴史でも非常に稀なケースだと思われます。

留学先について

Tufts univ.
私の留学先であるTufts大学はボストン近郊のメドフォードというところに本部がありますが、医学部はボストン市内のチャイナタウンのそばにあります。

ボストンには医学部がハーバード大学、ボストン大学、タフツ大学と3つあります。
他大学との人材の交流も活発で、研究会や講演会など情報を共有する機会もたくさんあります。Tufts Medical Centerはチャインタタウンという場所柄、中国系の患者さんが多い気がしますが、病院には通訳を必ず用意することが義務付けられ、例え英語が通じなくても医療を受けられるようサービスが提供されています。

Tufts Medical Center

私の留学は基礎研究だけでなく、臨床の見学も行うことができるように配慮してもらっていたので、週に一度は病院に顔を出して、診察や手術などの見学をしていました。ラボメンバーには純粋なアメリカ人は一人しかいなく、どちらかというとインド人や中国人などのアジア人が多く在籍していました。週に一度ラボミーティングを行い、実験の進捗状況などを話し合い、また来週のやるべきことを共有するというサイクルでプロジェクトを進行してきます。

留学の経緯

留学の経緯は、大学院を卒業して次に何を目標にしようかと思っていた矢先に、当時のボスから留学の話をいただき受け入れ先を探すということになりました。基礎研究の経験は乏しかったので、臨床的な研修もできるところを探しました。ちょうど、ボスがかつて留学していた時のボスであるKenneth R Kenyon先生が、現在タフツ大学におられ、受け入れを快諾してもらいその縁で来ることになりました。留学に当たっては助成金を得ることができ、当初は1年の予定で来ることになりました。留学の場合、殆どの日本人は助成金を得てそのお金を生活費や渡航費などに当てます。こちらでラボから給料がもらえる場合は余程の研究実績か強いコネクションがないと難しいようです。ラボでは、ボスがガレクチンという糖タンパクに特化して血管新生と免疫反応の両面で研究を行っており、自分もその中のひとつのプロジェクトを任されることになりました。眼球表面におけるガレクチンの発現や、角膜移植マウスを用いてのガレクチンの働きを調べるプロジェクトです。当初1年と言われて来ましたが、実際に何かをなすには時間が足りず半年間滞在を延長することにしました。

生活情報

私には家族がいますが、最初はボストンに一人でやってきて生活の立ち上げを行いました。幸い、昔からの友達がすでにボストンに留学で来ていたので、友人に情報を聞き、以前ボストンに留学していたことのある医局の先輩に助言をいただいて準備をしました。

アパートは候補を絞りましたが、当時3歳と1歳の子供達を迎えるにあたり、洗濯機が室内にあるアパートが最低条件になりました。日本では信じられませんが、こちらは一般的なアパートだと洗濯機は共用になります。洗濯機が室内にあるという条件だと、それだけで高級アパートの分類になってしまいます。また、子供が二人だと州法によって2ベッドルームでなければならないということで、およそ日本では考えられなかった広さの部屋に住むことになりました。

通勤には電車を使うことを考えて冬は駅から遠いのも厳しいだろうと思うと、結局それなりのお値段の物件になってしまい、駐車場代含めて$3200/月支払いました。部屋の広さは100m2強といったところで、アパートには24時間使えるジムやパーティーなどができるコミュニティールーム、夏の間は室外のプールも利用できました。駅前にあり徒歩3分で電車に乗れました。

車は中古を買うことも考えたのですが、メンテナンス費用やリセールバリューも考えて、Honda Fit新車を$17000位で購入しました。子供がおり幼稚園の送り迎えや週末の家族での移動を考えると、車のない生活は留学生活の楽しさを半減させると思い、躊躇せずに購入を決めました。車の保険代は保険履歴がないので私の場合は年間$2000位かかってしまいました。車があると行動範囲が広がるので、当初は家の周りしか知らなかったスーパーも探すと色々あり、日本食は値段が高めですが大体のものは手に入る環境になり、オーバーな言い方をすれば殆ど日本にいる時と変わりない食生活を送ることも可能です。月の生活費は、家賃、光熱費、携帯電話代、幼稚園の費用、食費、自動車関連費、遊興費など諸々含めて$6000~7000位でした。

留学してよかったこと

留学してよかったこととして、日本にいた時よりも家族で過ごす時間が増えたことと、大学の医局という狭いところから抜け出し日本という国家の善し悪しを再確認できたことです。

臨床メインだった、ワーキングスタイルがリサーチメインに変わり、自分の知らなかった分野の知識、技術を習得できたこと。特にボストンは日本からやってくる医療系研究者が多く、日本にいた時には知り合えなかった人たちと家族ぐるみで交友を持つことができたことなどが挙げられます。

悩みというかアドバイスですが、これから留学を考えている方には、金銭面での蓄えをしっかりしておいた方がいいということです。特に家族全員となると、諸々の費用が重くのしかかってきます。また、余暇を十分に楽しむためにも留学期間中に貧乏していると悲しくなります。皆、日本に帰ったら稼げばいいと貯金を切り崩して生活しているようです。

また、留学に当たってブログなどの生情報は役に立ち、実際に現地で生活している方との情報交換などもありがたく感じました。例えば、10年前の経験談だと物価や為替など、場合によっては法律なども変わっていたりして、感覚的なことが掴めないことが多いと思います。やはり2~3年以内という時間を意識して、情報を集めるようにしました。

今後の講演会情報

第14回JGMS講演会
2018年3月24日(土)
17:00-18:30
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