JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
諏訪先生 ボストン留学体験記
諏訪秀麿 (すわひでまろ) Ph.D
東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻 助教
留学先:Boston University (Department of Physics)

私はBoston University で2年間(2012年4月から2014年3月まで)ポスドク研究員として研究しました。

現地情報:ボストン

私の過ごした都市, ボストンについて少しご紹介します。ボストンは様々な国から留学生・研究員が集まる場所で, 特に学術的に刺激の多い街です。冬はとても寒く(-17℃程), 夏もかなり暑く(37℃程)なりますがが、美しい川(Charles River等)があり、緑も多く過ごしやすい環境だと思います。アメリカの都市としてはめずらしく車を使わなくてもそれなりに生活でき、大きくはないですが繁華街が中心に集まっており買い物等も楽しめます。また、中心部の近くに中華街もあり、アジア系のレストランや食材も充実しています。

留学の経緯

私は2012年に日本でPh.D. (Engineering)の学位を取得してすぐに, 日本学術振興会の海外特別研究員としてBoston Universityへ留学しました。大学では Department of Physics に所属しており、Visiting scholar として物性物理学(condensed-matter physics)に関する研究に従事しました。Boston Universityでのボスとは、日本で開催された国際学会を通じて面識があり、留学前に研究内容・計画を伝えて受け入れていただきました。同じグループのメンバーは、大学院生が4人程度でポスドクは私以外に0か1人と、大きなグループではありませんでしたが訪問する方達が頻繁に来ていたのでいろいろな研究者と議論する機会に恵まれました. また他のグループとも毎週食事に行ったりして、アメリカ人以外にも、中国・インド・イラン・ブラジル・フランス・スペイン等から留学に来ている大学院生たちと交流する事ができました。

図1:Boston市とCambridge市を隔てる
凍りついたCharles River

研究・英語

普段の研究は、基本的に研究テーマを自分で選び自分のペースで研究を進めることができました。私の分野の物理では、ボストン周辺のセミナー情報を共有するメーリングリストがあり、ときどきMIT等の近隣の大学にセミナーを聞きに行くなど、世界最先端の研究を直接頻繁に聞くことができたのがとても良かったです。留学当初は英語での議論もままならず苦労しましたが、とにかく積極的に話しかけて慣れるようにしました。英語がつたなくても内容のある発言をすれば、研究という場では聞いてもらえるので議論に参加しようと必死に考えました。そのような経験から、自分の意見を常に発信する意識が身に付いたと思います。英語の勉強としては、ニュース・ドラマ・映画等をどこでもスマートフォン等で見ていました。特に英語のドラマ鑑賞は楽しみつつ会話や文化を学べるのでおすすめです。

図2:研究グループメンバーたちとの夕食

生活

今回の留学時で初めて日本以外の国に住みましたが、幸運にもそれほど大きな問題はありませんでした。ボストンは日本に比べると少し高いですが、$10 〜 $15程度で食事できるレストランが結構あるので、ほとんど自炊しなくても生きていけました。ハンバーガーはすぐ飽きてしまったので, 中華やタイ料理屋によく行っていました。

問題を挙げるとすれば、賃貸住宅を見つけるのには少し苦労しました。ボストン近辺では賃貸は9月からの1年契約が基本なので、私のように4月から借りようとするとなかなか良いところは見つかりません。ここで1年契約というのがポイントで、1年の途中で引っ越す人は, 自分の代わりに住む人(sublet)を探す必要があります。多くの場合、このようなsublet募集に応募して直接交渉します。また一人で住むとかなり家賃が高くなってしまうので留学中はずっとシェアハウスに住んでおり($800/月 程度), 2年間で計3カ所に住みました。家賃のコストをあまり気にしない場合は、不動産屋等に任せてしまえば楽ですが, コストを抑えようとするとだいたい私のようにシェアハウスを毎年転々とすることが多いようです。またボストンは治安面では比較的安全だと言われており、夜遅くに一人で帰ることも(おすすめはしませんが)可能でした。

しかし2013年のボストンマラソンでのテロ事件はとてもショッキングで、一日中外出禁止令が発動したりするので、異国の地では普段からも気をつけなければと改めて感じました。

図3:ボストンマラソンゴール1km手前付近とFenway Park(野球スタジアム).
テロ発生後もランナーはしばらく事件に気付かず走っていた.
(大学のオフィスから撮影)

悩み

留学中の悩みとして, 私は結局「お客さん」であったということがあります。私は日本からお金を持ってこれたので、ボスに直接雇われていたわけではありませんでした。そのような理由から, ボスが頻繁に指示をくれるということは無かったです。私は自分で研究を進めていくのが好きなので、良いと言えば良かったのですが、それが自分への甘えにもなってしまっていたと今では思います。研究の世界でも人との繋がりはとても大切です。ボスとより強い信頼関係を築くためには、ある意味プライドを捨てて指示をもらい、期待以上の仕事をすることが必要でした。また新しい職場で信頼を得るには最初が肝心です。まず自分から心を開き、行動で能力と協力する意思を見せなければなりません。留学前はこれらの点をあまり意識していなかったので、それらに関しては少し後悔しています。もし留学先に直接雇用される機会があれば、信頼関係を築くために断然良いと思います。

初志貫徹

私にとって留学は非常に良い経験になりましたが、事前にもっと多くの情報を得ていれば良かったと思います。そして留学前の自分にアドバイスできるとすれば, 「妥協するな」と言いたいです。留学中は、言葉や研究や生活面で、いろいろと妥協したくなることがありました. 例えば。相手の研究発表がよくわからなかったときは、自分の専門内容ではないから仕方がないと納得したり、議論がうまく進まなかったときは、相手の説明がわかりづらいせいだと思ったこともありました。また日本語で調べた方が早いからと日本語の本や情報源に頼ったこともありました。

しかし、そのようなある種の逃げの姿勢では本気でその国とそのグループに入っていくことはできません。本気で自分を伸ばしたい・変えたいと思ったら、今までの自分を「捨てる」覚悟を持たなければなりません。もちろんこれまでの自分の経験を否定する必要はありませんが、それに頼らず全く新しいことに挑戦する気持ちを持たなければ成長はありえません。これから留学する方には、 普段の生活を楽しみつつも、勉強や研究では初志貫徹して失敗を恐れずに挑戦し続ける姿勢を大事にいてほしいと思います。

最後に、ボストンで最も見るべきもののひとつは夕日です。広く青い空が色鮮やかに変わっていく様は本当に美しいものです。 Charles River に沈む真っ赤な夕日を背に、心も燃やしながら常に前を向いてほしいと思います。

図4:大学近くからのボストン市街の夕日

今後の講演会情報

第14回JGMS講演会
2018年3月24日(土)
17:00-18:30
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