JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
ジョンズ・ホプキンス大学留学体験記〜眼科編〜
豊野哲也 MD, PhD
The Wilmer Eye Institute at Johns Hopkins University
東京大学大学院医学系研究科外科学専攻 眼科

留学先都市の情報

2014年5月からアメリカ東海岸メリーランド州ボルチモア市にあるJohns Hopkins Universityの眼科部門The Wilmer Eye Instituteに研究留学しております。
メリーランド州はワシントンD.C.の北側に隣接する州で、州都はアナポリス市、最大都市がボルチモア市です。世帯当たり収入の中央値では50州の中で最も高い州であるとの統計があります。

ボルチモア市の面積は238.5km²、人口は約65万人、ワシントン・ボルチモア広域都市圏(Baltimore-Washington Metropolitan Area)全体では約900万人です。
夏は最も暑い7月で最高気温32度、最低気温22度とほぼ東京の8月の気温と同じですが、湿度が高くないので東京の夏より大分過ごし易い印象です。
冬はまだ経験していませんが、1月の最高気温6度、最低気温-2度とのことですので、仙台と同程度と考えられます。

ボルチモアは日本人にはそれ程知られていない都市ではないかと思いますが、愛国心の強いアメリカ人にとっては馴染み深い都市のようです。
それは、ボルチモアがアメリカの独立の歴史との関連が深く、アメリカ国歌生誕の地でもあるからです。米英戦争の象徴とも言える1814年のボルチモアの戦いで、イギリス海軍の夜通しの砲撃に耐え、マクヘンリー要塞に、なお無傷でたなびいていた15星の星条旗の情景を詠んだ詩が、現在のアメリカ国歌The Star-Spangled Banner(星条旗)の歌詞です。また、この情景は200周年を記念して現在のメリーランド州のナンバープレートにもなっています。

全米屈指の治安の悪さで有名なボルチモアですが、通りを挟んで治安の悪い地域と良い地域がはっきり分かれているのがアメリカの面白いところで、治安が悪いとされる地域に夜間に近づかなければ身の危険を感じることはほぼありません。とはいえ油断は禁物なので、日々気を引き締めて通勤しています。日本を発つ前に、友人達からの送別の品として防弾チョッキをプレゼントされ、ボルチモアでの銃撃戦に備えるよう忠告されましたが、お世話にならずに済むことを願っています。

大学、研究室、病院の情報

ジョンズホプキンス大学の眼科部門The Wilmer Eye Instituteはジョンズホプキンス病院開院当初からある全米最古の眼科専門施設です。開院以来の歴史的建物が今なお外来棟として使用されております。眼科部門のラボは5つのビルに分散しておりますが、私の所属するラボはメインの研究棟であるSmith Building (2009年築)に入っており、角膜移植術の最大の原因である角膜内皮機能不全の予防および治療法に関する研究をしています。

Hopkins病院は、U.S.News誌のBest Hospital rankingにおいて、2012年までの21年間連続でNo.1に選ばれた病院です。分院も多くメリーランド州内に眼科部門を含むクリニックは10施設存在します。ホプキンスグループの従業員の数はメリーランド州の企業で最多とのことです。

留学の経緯

大学院1年目の頃から大学院修了のタイミングで留学したい旨を教授に伝え、研究留学すること自体の了解は得ていました。

しかし、特にどこのラボを勧められる訳でもなかったため、具体的な留学希望先のラボは大学院4年目に入ってから、自分自身で自由に選定することが出来ました。最終的に2013年8月に受け入れ留学先が急遽決定したため、各種助成金の申請は主に渡米後に行いました。現時点では日本アイバンク協会海外研究助成を頂けることが決まっています。

ラボでのポジションはポスドクフェローです。留学前はPhDを持っていないとポスドクになれないと勝手に思っていたのですが、アメリカではメディカルスクールを卒業してMDをとればポスドクになれるということで、PhDを持っていないMDのポスドクも沢山います。

英語の勉強法

TOEFLに関しては、研究留学前に直接必要なものではなかったため未受験で、特に試験対策もしませんでしたが、学術振興会の海外特別研究員等に応募する際に任意でTOEFLの点数を記載する覧があるので、渡米前に申請する助成金を獲得する上でTOEFL80点以上は多少考慮の対象にされるのかもしれません。最低限必要な英語力の1つの目安として、TOEFL80点を指標とするのもよいのかもしれません。

英語力に関して渡米後に痛感していることは、特にリスニング力の低さです。ラボは9割方ネイティブスピーカーの環境なので、話すスピードが非常に早く、生の英語のリスニング力の低さに愕然としました。渡米前には特にリスニングに関して出来る限りの対策をしておくことをお勧めします。

生活情報

3人の子連れで、2014年5月に渡米しました。住居には安全を第一に考え、ボルチモア郊外の日本人研究者が多く住むアパートメンツを選びました。2bedroom 2bathroom 約110平米で家賃1350ドル/月、光熱費約150ドル/月です。健康保険はジョンズホプキンスのポスドクが一般的に加入している、大学の学生保険プログラムに加入しています。家族分も含めて860ドル/月をラボが負担してくれています。この保険のプログラムの歯科保険は本人分のみ含まれており、家族分は含まれておりません。

生活用品一式は、私達が渡米する時期にちょうど帰国するご家族から譲り受けました。通勤用の車一台(2002年式、MAZDA 626、走行距離15万マイル)を含めて38万円で全て譲り受けました。また、家族用の車として2012年式、HONDA ODYSSEY(走行距離3万7000マイル)を220万円で購入しました。車の初期投資は非常に痛手ではありましたが、アメリカでは中古車の需要が高く、売る時に8万マイルを超えていないと大分高く売れるので、日本人の留学者の間では5万マイル以内の人気車種を購入して大事に乗るのが鉄則のようです。ちなみに2014年現在、アメリカ中古車市場では、故障の少ないTOYOTA、HONDAの人気が絶大です。休日は車で出かけることが多く、ワシントンD.C.まで1時間、ニューヨークのマンハッタンまで3時間程度です。

ボルチモアを本拠地とするプロスポーツチームはアメフトのレイブンスとメジャーリーグのオリオールズがあります。古き良きアメリカの野球場を残すことを意識して近年改装されたカムデンヤードと呼ばれる全米屈指の人気を誇るボールパークがあります。日本人選手も多く活躍する人気チームニューヨークヤンキースやボストンレッドソックスと同じリーグに所属し、また、伝説的な名選手ベーブルースの生まれ故郷であることからも野球熱の非常に高い土地柄です。しかし、やはりアメフトの人気には遠くおよびません。特に9月のシーズン開幕以降は毎週金曜日が非公式にPurple Dayとされており、職場にも学校にもレイブンスのチームカラーである紫の洋服を着ていくことが市民の慣習になっています。

外食には、ハーバー近くに美味しいレストランやバーが建ち並ぶFELLS POINTという治安の良い地区がありオススメです。

留学して悩んだ事、良かった事

留学後3ヶ月が経過し、初めは多少の違和感を感じていた日本の文化との違いにも慣れてきましたが、当初からの一番の悩みはやはり英語のリスニングです。ラボの現在のメンバーは、アメリカ、イギリス出身のネイティブスピーカーが9割であるため、アメリカのコメディドラマをみているかのような早口でカジュアルな会話が常時繰り広げられており、雑談には全くついて行けません。留学前の準備として、生の英語素材のリスニングにもっと時間を費やしておくべきだったと思いました。

こちらが伝えたいことは、多少ブロークンな英語でも理解してもらえますが、ネイティブが話す早口の英語を正確に理解できないために会話が噛み合ないことが度々です。

特に研究を進める上で大切なポイントは完全に理解する必要があるため、しつこく何度も聞き返さなければならず、お互いに辛いものがあります。それでも当初に比べれば聞き返す回数は減ってきており、理解度も増しているように感じています。

留学して良かったことは、まだ来て3ヶ月少々なので総括は出来ませんが、広々とした環境でストレスなく生活できているだけで、心から来て良かったと実感しています。

参考書籍

「研究留学術 研究者のためのアメリカ留学ガイド」
門川俊明編著 医歯薬出版株式会社 ISBN4‐263‐20171
研究留学の準備から帰国までの流れがよくわかり、具体的な生活のセットアップの方法等が詳細に記載されているバイブルです。まだお持ちでない方はすぐに手に入れて一通り目を通しておきましょう。

今後の講演会情報

第14回JGMS講演会
2018年3月24日(土)
17:00-18:30
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