JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
イギリス ロンドン留学体験記
岩上 将夫 M.D., M.P.H.
London School of Hygiene and Tropical Medicine, MSc Epidemiology

現地情報

私は、現在ロンドンにあるLondon School ofHygiene and Tropical Medicineの疫学修士(イギリスではMasterあるいはMScと呼ばれます)コースに留学しています。

ロンドンの人口は800万人強です。生まれて初めてロンドンに来ましたが「小さい東京」のような印象を受けました。
中心部から地下鉄(underground)を使うと、30分あればほとんどのロンドンの見所には行くことができ、電車(overground)を使えば、1時間程度で緑豊かな郊外に出ることもできます。
春夏秋は日本より涼しく、長袖の上にジャケットを羽織っても暑く感じません。

一方で冬は意外と暖かく、手袋が必要ないことに驚きました。天気は噂通りどんよりした曇りが多いですが、移り変わりが激しく、「晴れ時々雨」の天気予報が目立ちます。
治安は日本と同程度だと思います。夜のライトアップと、ロンドン全域をほぼカバーする2階建てバスが印象的です。

留学先について

London School of Hygiene and Tropical Medicine (ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院、以下LSHTM)は10以上の大学の集合体であるロンドン大学群の中の1つで、公衆衛生学専門の大学です。

名前の通り感染症対策から発展した疫学・公衆衛生学が中心ですが、近年は生活習慣病の疫学研究やランダム化比較試験の指導にも力を入れています。

10以上のコースがあり1学年おおよそ数百人(日本人は約10人程度)です。最も人数が多いのは200人程在籍しているMaster of Public Healthコースで、私の所属するEpidemiology(疫学)コースは40人程度(日本人は3名)です。

公衆衛生というと例えば予防接種や医療政策のようなイメージがあるかもしれません。
しかし、私の疫学コースは(臨床)疫学研究の計画・統計解析・結果の解釈について、多数の講師達により提供される生データを用いて考える授業や実習がほとんどです。
講師陣は医療雑誌BMJやLancetのエディターを行っているような権威ある先生もいれば、病院で診療をしながら週の半分はLSHTMで研究・講義を行っているような先生もいます。

留学の経緯

私は当初、米国に臨床留学することを目標にECFMG certificateを取得しましたが、マッチング・国家試験・初期研修の合間を縫って準備するのは容易ではなく時間がかかってしまい、手もとに届いたのがもうすでに腎臓内科になることを決め後期研修が始まった後でしたので、米国で再びマッチングを経て初期研修からやり直し腎臓内科フェローシップ(後期研修)までたどり着くのは遠い道に思えました。

そのような中、腎臓内科として国内外で学会・論文発表をするようになりましたが、データの扱い方・見せ方に困ることが多く、よりしっかりと勉強したいと思うようになりました。そこで、統計・疫学を重点的に学べる東京大学公衆衛生大学院(School of Public Health)の存在を聞きつけ入学しました。

そこで初めて知ったのは、日本は統計・疫学を含む公衆衛生学の教育の歴史が浅いということです。東大SPHの授業には大変満足していましたが、100年近くの歴史がある海外の公衆衛生大学院 (古い順にははジョンスホプキンス、ハーバード、LSHTM)で、さらに勉強してみたいと思うようになりました。LSHTMには腎臓専門の疫学研究チームがあったことも、最終的にここへ留学することに決めた理由の一因です。

英語の勉強

英語に関して留学後に分かったことは、「TOEFLやIELTSで良い点数が取れるようになれば留学先で困らない」わけでも「留学したらいつのまにか英語が話せるようになる」わけでも全くないということです。

グループディスカッションやクラスメート主催のホームパーティーが終わるたびに自分の英語に落胆し、リスニング・スピーキングの教材を掘り出してきて、繰り返し繰り返し勉強したものです。
まさか留学後に、日本から英語の教材を10冊以上取り寄せることになるとは思ってもいませんでした。

日本にいた時との勉強方法の違いは、「生きた」リスニング教材を積極的に使うようになったことです。静かな部屋で発音のきれいなネイティブスピーカーがゆっくりと読み上げるような教材ではなく、雑音が混じる中で各国のなまりや様々なスピード・音程に慣れることができる教材が役に立ちました。お勧めの書籍を参考文献に載せます。

生活情報

ロンドンでの生活は、生活費が非常に高いこと以外はとても満足しています。
都心の中にもきれいな景色の公園がたくさんあり、マンチェスターユナイテッドの香川選手を応援しに行ったり、土日には地下鉄で30分程度のウインブルドンでテニスをしたり、フランスやイタリアにもすぐ行くことができます。

一方出費に関しては、もともとロンドンの物価が高いことに加え、現在の通貨レート(1ポンド170円程度)はかなり厳しく、家賃(1DKの学生寮)約24万/月、昼ごはん1,500円(日本食店もありますがラーメン1杯2,000円)、コーヒー1杯400円、定期代(地下鉄4駅分)15,000円/月、学費350万円/年(PhDは230万円/年)、学生留学保険 約25万円/年といった具合です。企業のスカラーシップをいただいて留学に来ましたが、予想外に出費が多く、だいぶ貯金を切り崩しています。

最後に

日本人医師の留学の方法として「まず日本の大学で基礎研究を通じて博士号を取得し、研究室のつてを通じて米国の基礎研究室に留学する」ことが昔からの主流かと思います。

その中で私は、「英国」でしかも「疫学」という極めて異端な道を歩んでいるように感じていますが、海外ではどうやらそんなに異端な道でもないようです。

日本でも今後、疫学研究留学の位置づけが少しずつ変わっていく事を期待しています。若いうちに早めに海外に出て能力を磨きたい方は、1つの選択肢として疫学の研究留学をご検討いただけたらと思います。

おすすめの文献、参考図書

「LIVE from LONDON ナマのイギリス英語を味わう! 」(ジャパンタイムズ)
「いろんな英語をリスニング 」(研究社)
「ハリウッドスターの英語」(アルク)
「見る英会話留学」(アスキー・メディアワークス)
「最強の英語リスニング・実践ドリル」(研究社)
「ダボス会議で聞く世界の英語」(コスモピア)

今後の講演会情報

第14回JGMS講演会
2018年3月24日(土)
17:00-18:30
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