JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
イギリス University College London留学体験記
University College London,
MSc of Social Epidemiology,
Department of Public Health and Epidemiology
長嶺由衣子

1. 留学先都市の情報

 ロンドンの人口規模等の情報は他の先生が書いてくださっているので省略いたします。
 気候でまず驚くのは、冬の夜の長さ、春から夏にかけての昼の長さかと思います。冬場は15時には暗くなり、朝は8時頃にならないと明るくなりません。太陽が出ることは滅多になく、太陽が出るとみんなこぞって外で日光浴をしようとします。最初は、パブからはみ出して外で冷たいビールを飲んでいる人たちを見て、何でこんなのに外でビール?!と思っていましたが、今や私も少しでも太陽が出ると光合成すべく外で本を読んだりするようになってしまいました。逆に、4月頃からは夜20時まで明るく、6月頃からは夜22時まで明るいです。冬の癖で、明るいとなんか外にいた方がいいんじゃないかという気分になってしまいますが、気付いたら夜22時なので要注意です(笑

その他、あまり良いことばかり書いても仕方がないので、町に関する情報は、東京と東南アジアのタイ、ロンドンを勝手に比較してみたことがあるので、抜粋いたします。この中から少しイメージを持っていただければ幸いです。

街の綺麗さ

ロンドン<バンコク<東京

電車の車内の綺麗さ 注:乗る電車によります

ロンドン<バンコク=東京
※ロンドンにはゴミや新聞をそのまま車内に捨てていく方が多くいます

電車のICカードの感度の良さ

ロンドン<<バンコク=<東京
※ロンドンのICカードは反応が悪いので、ラッシュアワーなどのピーク時間にはいちいち改札の入り口が大混雑です。

エスカレーターの速さ

東京=<バンコク<ロンドン
※ 高齢化率は東京21.8%(2014)、ロンドン10.6%(2011)、バンコク15%前後(2015, タイ全体)
※ 15歳未満人口比率は東京11.3%(2014年)、ロンドン 16.3%(2011)、17.6%(2014, タイ全体)
高齢化率や年少人口による事故予防的措置だけとは言えなそうですね。ロンドンは街としても段差も道の凸凹も多く、なかなか高齢者や小さい子が行動しづらい環境ではあります。かつての時代の生産年齢人口を対象とした街の構造だなぁとつくづく思います。

Wi-Fi環境

東京<<バンコク=<ロンドン
※各国とも携帯を契約してしまえば変わらず。ただ、街中でのWi-Fi環境は日本が群を抜いて悪いです。タイやロンドンは街中のカフェに入れば田舎でもどこでもネットにつなぐことができます。ただし、スピードに関しては日本のみがLTE。早いです。ロンドンは日本に比べるとネットが遅いので、スピードが速いことを想定して作られている日本の重〜いweb pageを開くのに苦労することが多々あります。大学関連施設であれば、ほぼ問題ないと思います。

生活費

バンコク<<東京=<ロンドン
切り詰めまくって300ポンド/月でやりくりしている人もいますが、週に1回食べに行ったり、ミュージカルを月に1回見に行ったりして、一人なら700-800ポンドぐらい?(家賃抜き、光熱費、インターネット、交通費、携帯、食費、娯楽費含む)でしょうか。

家賃

バンコク<<東京<<ロンドン
感覚的に、同じ広さの部屋(1DK)を借りたとして、月の家賃がバンコクと東京で5倍、東京とロンドンが2倍です。

食事の美味しさ

ロンドン<<<バンコク=<東京
アジアの食事は味が重なり合ってそれぞれが主張しながらも全体として素晴らしいハーモニーを奏でる掛け算の味、ロンドンの食事は例えば芋とケチャップが足し合わさるというベースのない足し算の味

人のフレンドリーさ

ロンドン<東京<バンコク
東京は外国人として見えていないので、贔屓目が入ってるかもしれません。
その他電気代、インターネット契約、ガス代などなどもロンドンが最も高いです。
ただし、電車や階段の前で重いものを持っている人がいたり、ベビーカーの人がいたりすると、スマイルですぐに手を貸してくれるのがロンドンです。タイとロンドンでは、電車やバスの中でご高齢の方や妊婦さん、子どもたちに席を譲るのは当たり前。日本ではその光景が自然に見られないですね。

治安

思った以上にロンドンは安全でした。私が住んでいるEalingという地域は夜中23時や1時頃帰宅しても危険を感じたことはありません。

2. 大学、研究室、病院の情報

 UCLはロンドン大学の中でも最も大きく、非常に利便性の高いセントラルロンドンのzone1に位置しています。大学の講義棟や図書館、研究所などが街中に散らばっているので、街全体が大学のような感じになっています。最寄り駅は5個ほど。医学系の大学院のみならず全ての分野の学部、大学院とも設置しているため、全体で学生が3万人程度。うち3割にあたる1万人が留学生です。人が多すぎて、入学の時期は大混乱。事務の対応のクオリティが普段の半分以下に低迷しますのでご注意を。
 あまり日本人には知られていない印象ですが、大学の特徴としては、世界のトップランク10以内をここ10年ほど常にキープしており、1800年代にイギリスで初めて、当時英国国教会の白人男性しか大学で学ぶことはできなかったというルールを撤廃し、女子学生を始め様々な人種も受け入れた大学と言われています。今でも教師も学生もお互い尊重しあう自由な雰囲気が受け継がれています。
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修士課程時代
 私のコースは少人数制で20名。疫学を社会政策に活かすためのコースであるため、医師は少数派で、弁護士、行政担当者、コクランレビューで働いている人、大規模コホートでデータマネージャーをしている人、病院事務、薬剤師、チャリティーで働いている人、など様々な人とともに学んでいます。サマースクールには疫学者のみならず、社会学者やジェンダーの専門家、国連担当者、各国行政担当官、各国家庭医など様々な人が参加します。
 講師陣はLSHTMと同じく、疫学関係の国際誌のチーフエディターやエディターを務めておられる方が多く登壇されます。少人数で留学生が半分以上を占めているので、英語の比較的ゆっくり話してくれます。授業中やオンラインツールなどを介して納得がいくまで質問をすることができます。また、授業に対するフィードバックを強く求めてくださるため、学生たちも授業の構成や内容について、求めるものと違うためにはガンガンフィードバックをします。講師や教授と生徒の間に尊敬に基づく関係はあれど、パワハラのような関係性は存在しません。
 その他、文化交流や友人関係の構築ですが、ウェルカム雰囲気満載なアジア諸国と異なり、英語圏では完全に自分次第の印象です。特にイギリスの人や他の国からの留学生とどの程度ネットワークを築くことができるかは、クラスの雰囲気や、住む場所、自分が大学以外のコミュニティを持っているかなどに依存するかと思います。日本人同士のネットワークは、「ロンドン日本人会」など、同じ時期に留学している人たちと繋がる機会が多々あります。
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サマースクール

3. 留学の経緯、助成金、ラボでのポジション、専門、英語やTOEFLなどの勉強方法(おすすめ文献)

 元々公衆衛生、疫学を学びたいと考えており、5年ほど民間病院と離島で臨床をした後、留学直前は日本のPh.D.に所属しつつ大規模コホート研究の事務局の業務をしながらほぼ独学で統計学や論文の書き方、データハンドリングなどを学んでいました。留学は考えていなかった訳ではありませんが、たまたま参加した勉強会にきていたUCLの教授からPh.D.を始めるにあたっては修士でまずは体系だった勉強をした方が良いというアドバイスとともにうちに来て学んだらいい、と声をかけていただいたので、すぐに留学することを決めました。急展開でしたので、ほとんどの助成金は残念ながら応募が終了しておりました。自分が所属している大学の留学助成と学会等の研究費などに応募し、学費の半分ぐらいは助成を得ました。
 英語については、IELTSを受験するのが初めてだったため、British Councilの5-weeks intensive courseに通い、IELTSの特徴、点数の取り方を学びました。その他、Brisith CouncilのホームページなどにReading, Writing, Listening, Speaking各モジュールのTipsが載っているのでオススメです。British Counsilの先生方がかなりIELTSの本番試験のSpeaking試験官もやっているので、かなり生きた試験情報をいただけたと感じました。

4. 生活情報:車、食事、おすすめレストラン、住居、保険、家族、(具体的な金額を明示)

【一年間の予算】

・VISA申請  13万円
・出願    10万円弱
・渡航費用  10-20万円
・その前の引越し等 10万円程度
・倉庫代   月1.2万円(年間15万円)
・学費    440万円
・生活費(家賃、光熱費、水道代、インターネット、交通費、食費等込み) 月25-50万円
  (家族の大きさ、家の種類によると思われます)
ロンドンの大学での留学の場合、一年間全体で800-1000万円前後だと思います。ロンドン以外であればイギリス国内でも、生活費、家賃とも半額以下です。
 ご家族で来られる場合、日本人であればFinchley central周辺や、学校に通われるお子さんがおられるご家族であれば、Londonの西側に位置するEalingに日本人学校があるのでここに住まれる方が多いです。

【レストラン情報】

大学周辺ですと、ある程度手頃でよく使っているのが
・ トルコ料理 http://www.efes1restaurant.co.uk/index.asp
・ タイ料理 http://www.busaba.com/
・ タイ料理 https://thaimetro.co.uk/
・ 日本食居酒屋(手頃)https://www.zomato.com/london/asakusa-camden-town 
・ 四川料理 https://www.tripadvisor.co.uk/Restaurant_Review-g186338-d2256101-Reviews-Chilli_Cool-London_England.html
など

5. 留学して悩んだ事、良かった事

【悩んだこと】

 やはり英語です。試験等で聞かれていること、求められている答えが何かを短い問題文の中からひろいあげるのがなかなか難しいと感じています。
 また、日本人同士であればある程度話が通じていたところをきちんと英語にして相手に表現をし、ディスカッションをしたり、ひとつのプレゼンテーションを作り上げるということの難しさと楽しさを感じています。

【良かったこと】

 悩んだことの裏返しですが、全く違う背景を持つ人とディスカッションをすることで最初は気まずくなったこともありましたが、今はこうした仲間ともよくパブに行って飲みながら意見交換をするようになりました。
 また、大学の学びの中では、なかなか日本の医学部の大学院の中では見られない体型だった大学院教育のあり方のモデルを目にすることができているような気がしています。大学院教育における最初のインプットとして、学ぶ前にやってみろ、ではなく、最低限必要な知識をどのように定義づけ、そこから発展させて自分なりにどう思考し、表現していく力をつけるのかというのが1学期、2学期、3学期を通して学べるようになっているように感じます。
 最後に、音楽など大学以外のコミュニティに所属することで輪が広がります。もし余裕があれば、オススメです。

修士修了後の3ヶ月熱帯医学ディプロマコースにて(クリスマスパーティー、慣れた後)
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修士修了後の3ヶ月熱帯医学ディプロマコースにて(自宅パーティー)
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修士修了後の3ヶ月熱帯医学ディプロマコースにて(2週間に1回フットサル)
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課外活動で行なっていたロンドン沖縄三線会(年に一度の日本祭りでトラファルガー広場で演技)
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6. おすすめの文献、参考

イギリスでの修士取得を考えられている人は、出願の準備から出願、VISAの申請、その後の手続き等私自身の経験を書きのブログにまとめていますので、ご参考になれば幸いです。
http://ameblo.jp/ch-wh/entry-12111626093.html
IELTS おすすめページ
https://www.britishcouncil.jp/exam/ielts

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2018年3月24日(土)
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