JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
イギリス バーミンガム留学体験記
University of Birmingham
Centre for Cardiovascular Sciences
Research Fellow
妹尾恵太郎

はじめに

イギリスと言えば、エリザベス女王、サッカーのプレミアリーグ、食事ではフィッシュ&チップスそして、アフタヌーンティー。
私にとって渡英前のイギリスはそれくらいの印象しかありませんでした。
そんな私が、イギリスに留学するに至った経緯、また渡英して一年半が経過した現在の状況や思っていることなどについて書かせて頂こうと思います。

自己紹介と留学の経緯

City Hospital

まずは現在の私の勤務先についてですが、イギリスの中西部のバーミンガム市にあるUniversity of Birmingham Centre for Cardiovascular Sciencesに研究員(Research Fellow)として所属しています。この研究室は、NHS(National Health Service)の一つであるCity Hospitalに併設されています。
※NHSとは…イギリスにおける国営保険サービス(National Health Service)のことで、運営は国費でまかなわれており、原則治療費などは無料です。

私が師事している同研究室のGregory Lip教授は心房細動研究の第一人者で、現在のEuropean Society of Cardiology (ESC) guidelineをはじめ、世界中で使用されるようになったCHA2DS2-VASc score(心房細動の脳梗塞発症予測スコア)やHAS-BLED score(心房細動の抗凝固療法における出血リスク評価)を提唱した教授です。

私とLip教授との出逢いは留学の1年半前にさかのぼります。
私は、初期研修修了後、はじめに岡山心臓病センター榊原病院に循環器内科医として勤務し、その後東京の心臓血管研究所付属病院にて勤務いたしました。
日常診療の中で、次第に不整脈(特に心房細動)の治療に興味を持ち、不整脈治療を専門にすることを目指すようになりました。

東京にいた頃、心房細動治療の講演のため先述のLip教授が来日されるという情報を聞き、事前にほんのわずかな時間ながらアポイントをとることができたので、講演会後にその場で、留学して心房細動疫学研究を行いたい旨をお伝えしました。初対面にも関わらず、お伝えすると有難いことに即快諾してくださり1年半後の留学に至りました。
渡英して分かったことですが、この研究室の構成メンバーは非常に多国籍(イギリス、イタリア、ギリシャ、パキスタン、ベラルーシ、マレーシア、モーリシャス…日本は今回私が初めてでした)で、研究内容も多岐にわたっています。

留学資金ですが、給料はないため一年目は日本不整脈学会の海外留学助成金を取得、二年目はSasakawa foundationの助成金をイギリスで取得し、現在、妻と二人でイギリス生活を送っております。

バーミンガム

私の住んでいるバーミンガム市についても少し触れておきたいと思います。
バーミンガム(Birmingham)は多くの日本人にとって馴染みの薄い都市だと思います(時々バッキンガムと間違えられますが、バッキンガム宮殿はロンドンにあるので関係はありません)、人口や都市の規模からイギリス国内ではロンドンにつぐ第二、もしくは第三の都市とされていて、地理的にはロンドンから北西へ列車で約2時間の距離にあります。中心街は非常にコンパクトにまとまっており生活するには便利な所です。街中に運河が流れているため、天気の良い週末は運河沿いでゆっくり過ごす人もたくさん見かけます。

留学先での仕事

こちらで私が携わっているのは、主に次の3つです。

  1. データベースを用いて疫学解析、論文化
  2. Research patientの研究登録業務
  3. 外来業務

Queen Elizabeth Hospital

他には教授から様々な仕事(論文の査読や、journalのreview articleやeditorial articleの執筆依頼など)がエクストラで依頼があることも多いですが、いずれもFirst authorでの論文になるため、やりがいを感じながら行っております。

また留学前に、循環器専門医の資格を取得し、カテーテルアブレーション業務にも携わっておりましたので、英国のアブレーション治療にも非常に興味がありました。そのため、アブレーション治療ではより新しい機材の充実しているNHSの別の病院でEP(Electro physiologist) visiting fellowとして定期的に勉強をさせてもらっております。

私の留学 三ヶ条

留学をこれから考えていらっしゃる方の中には、留学前の英語の勉強はそれ程しなくても行けば何とかなると考える方もおられるかもしれません。
しかし…残念ながら何ともなりません。もどかしさと自信喪失で負のスパイラルに陥ることになりました。(全て私の話です)
また、何をするにしても日本とは勝手が違うので、当然日本では味わうことの無いストレスは多々あります。
私の場合は次の三つを意識して留学生活を送っています。

一、英語の積み重ね
私は渡英前の学習が十分で無かったので、現在も毎朝と帰宅後に少なくとも1時間ずつは毎日欠かさず英語の勉強をしています。当然ですが、留学前に自分の専門分野の英語の知識は必須ですし、日常会話の勉強には(特にイギリス英語に慣れる必要がある場合には)BBC Newsは役立ちます。

二、主張し続けること
とにかく日本と違う点は公的サービスなども含め仕事の遅い人が多いので、常に期日までに必要なことはしっかりアピールすることが必要でした。(幸い、私の研究室の教授は非常にレスポンスの早い人なのでかなり助かっていますが…)

三、心を大らかに
自分の思い通りうまくいかないことも多い為、私は随分気持ちを大らかに持てるようになったと思います(笑)
一年半が経った今は、教授をはじめ同僚や友人など周りの方の支えのお陰で楽しく留学生活を送っています。

日本にいるだけでは得ることができなかった人脈ができたことも自分にとっての大きな財産になりました。留学中にできるだけ沢山の人と出会って国籍、職業に関わらず広く交友関係を広げてきたことは良かったと思います。在英日本人医師の会もあり、そこでは自分の研究のテーマを講演させて頂くという光栄な機会も頂戴し留学の良い思い出になりました。また、どの国にもだいたい地域の日本人会があるかと思いますが、家族も含めて生活に慣れる為にはその存在はとても心強かったです。

イギリス生活

日本に帰国したらもうそれほどヨーロッパに来るチャンスはないと思い、週末や夏休みを利用し、旅行も楽しみました。
美味しい食事を食べるのを理由に、スペインやフランス、イタリアなどに気軽に行けるのはヨーロッパ留学の特権かもしれません。

さいごに

英国留学に際して、臨床医として働く場合と研究医として働く場合で、ビザの取得方法が微妙に異なります。私の場合、研究医で渡航したため、Tier 5 (Temporary Worker – Government Authorised Exchange) visaでビザを取得しました。ただ、ビザに関する情報が短期間でよく更新するため、留学を考えておられる方は、前もって情報を確認しておく必要があります。(https://www.gov.uk)

最後に、私の留学経験がこれから留学したいと考えておられる方々の少しでもお役に立てれば幸いです。

今後の講演会情報

第14回JGMS講演会
2018年3月24日(土)
17:00-18:30
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