JGMSは、医師や医学生の海外留学を支援し、国内医療のグローバル化を目指すNPOです。留学経験のある医師を招き、定期的に講演会を行っています。
医療留学体験記
月岡 祐介 M.D., M.P.H
Imperial College London, Master of Public Health (Global stream)

留学先都市の情報

私はロンドンにあるImperial College Londonの公衆衛生の修士課程を履修しています。

ロンドンの人口は860万人で、2015年、過去史上最多を記録したようです(東京は1400万人)。人口密度は東京の約3分の1程度です。気候は日本に比べると、夏はとても涼しく、冬は少し温かいです。日照時間が日本と大きく異なり、夏は朝5時~夜10時の間ずっと明るい一方で、冬は夕方4時には薄暗くなってしまいます。10月の留学生活開始から約3カ月間はみるみる日照時間が短くなり、どんよりとしてくるので少し気分が滅入りました。
 
物価は日本の約1.5~2倍くらいの印象です。渡英してきた昨秋は1ポンド=170円程度でしたが、1年経過した今現在、1ポンド=195円と大幅に円安が進みました。民族が多様で、いわゆるWhite Britishはロンドン人口の約45%を占めるに過ぎません。実際、街を歩いていると、英語以外の言語を多く耳にします。公共交通機関はよく発達しており(ストライキは多いですが)、地下鉄・電車・バスはオイスターカードと呼ばれるSuicaのようなカード1枚で利用することができます。治安は思っていたよりも良く、電車やバスで寝てしまっている人もたまに見かけます。

大学の情報

私の所属するImperial College Londonの公衆衛生修士コースはパディントン駅の近くのセントメアリーズキャンパスで行われます。アレクサンダー・フレミングが世界で初めて抗生物質(ペニシリン)を発見した建物で授業を受けています。同キャンパス内にある附属病院では、キャサリン妃が2人の子供を出産しました。

修士課程は10月から始まり、1年間を3学期に分けて授業が行われます。冬休み明けと春休み明けに試験があり、6月~8月は修士論文の準備、9月に提出・発表といったスケジュールです。

公衆衛生修士は、MPH (Global stream), MPH (General stream), MSc epidemiologyに分かれ、それぞれ20-30人の生徒が属しています。私は、2013年から新設されたGlobal streamに属しております。既存のGeneral streamに比べ、より途上国の公衆衛生システムに目を向けたコース内容となっています。統計・疫学・医療経済といったコア科目は他の2コースの生徒と一緒に授業を受け、それ以外は単独で途上国の医療制度などに関する講義を受講しました。

生徒の平均年齢は低く(23-24歳程度)、1学年7~80人のうち30歳以上の生徒は5人ぐらいです。国際色豊かで、EUはもちろんアラブ・アジア諸国からの生徒も多くいます。日本人は私1人です。最も仲のいい友人はアフガン難民だったそうで、幼い時に渡英してきたそうです。


留学の経緯


私は心臓外科医としてのキャリア形成の一環として公衆衛生での留学を決意しました。英語で論文を書いたり読んだりするための、体系的な統計や疫学のスキルが足りていないと感じたことがその理由の1つでした。もう1つの理由として、ある国際学会に参加した際に、シンポジストとして登壇していた日本人の先生が、討論の間、一言も発言していなかったのを目の当たりにし、英語力の必要性を痛感したことも大きな理由でした。イギリスを選んだのは、1年で修士課程を修了できることと、疫学の発祥の地だということからでした。アメリカは、以前サンフランシスコに一人旅をした際に、間違ってゲイの方のメッカとされる地域に宿泊し沢山の男性に口説かれてしまい大変だったことがイメージにあり、選択肢から外れました。

出願するに当たって大きな壁が2つありました。1つは英語で、もう1つはGPA(大学時代の成績)でした。もともと英語が好きではありましたが、臨床をやりながら基準(IELTS: Overall 7.0以上、各モジュール6.5以上)をクリアするための勉強をするのは大変でした。中学時代から野球に熱中し、大学に入ってからは野球か筋トレしかやっていないような生活でした。それが災いし、GPAは2.8点(4点中)でした。出願直前に出身大学から成績表を取り寄せて、初めてGPAなるものを計算した時の衝撃は今でも忘れません。少なくとも5回は計算し直しました。幸い、7年間の臨床経験や学会活動(発表や手術手技の大会での優勝経験)を考慮してもらったようで、入学する事が出来ました。

英語

2014年からイギリスの大学院ではTOEFLは出願に使えなくなり、IELTSが主流となりました。なんとかIELTSの基準をクリアし渡英しましたが、IELTS 7程度の英語力ではネイティブとのディスカッションに全くついていけませんでした。また、渡英後、3ヶ月経過したあたりで気付いたのが、英語にまみれて生活していても能動的に英語を学ばなければ、英語力はつかないということでした。修士課程修了後にオーストラリアで臨床を再開しようと目論んでいたこともあり、再びIELTS対策を軸にした英語の勉強を再開しました(オーストラリアの病院で働くためにはoverall 7以上、且つ全てのモジュールで7以上が必要条件)。スピーキングは、毎朝登校前に25分のmy tutorというフィリピンからのオンラインレッスンを受けました(500円/回)。リスニングは、IELTSの過去問のシャドーイングを行い、ライティングはIELTS-blogというサイトのcorrection serviceを利用しました(300 wordsまで500円/回、24時間以内に返送してくれる)。リーディングは過去問をとにかく解くようにしました。テキストとしては、Target Band 7という本を利用しましたが、薄くて簡素な割にエッセンスが詰まっており非常に役に立ちました。これらの結果、今夏、overall 8.0 (L 8.0, R 8.5, W 7.5, S 7.5)をとることが出来、無事オーストラリアなどの病院に応募する事が出来ました。


生活情報

加入した保険はAIUの留学保険で、夫婦二人で年間約40万円でした。ロンドンには多くの日系の病院や日本食レストランがあるので便利でした。グラクソスミスクラインなどの奨学金を頂きましたが、学費の29,000ポンド/年(550万円)と家賃(1K)1,700ポンド/月(32万円)のため、貯金を使っています。

留学して悩んだ事、良かった事

英語以外には特に悩みはありませんでした。食事は美味しくないと言われていますが、ロンドンには多くの国のレストランがあるので、ちゃんと選べば問題はないと思います(学食は最低です)。個人的には、食事の面や精神的な面で妻がサポートしてくれたので非常に助かりました。 

クラスにも積極的に関わり、将来公衆衛生分野で活躍していくであろう人達とネットワーキングができたのは貴重な事だと思います。また、心臓外科医を目指す医学生の会にも何度か指導者として参加させてもらい、自分自身のモチベーションをあげることができました。
 
この留学は、外科医としては長期間のブランクになるという意味でリスクはありますが、長い目で見れば有意義であったと思います。


おすすめの文献、参考図書

Target Band 7
mytutor (マイチューター) オンライン英会話
IELTS-blog correction service
Cambridge IELTS Student’s Book with Answers

今後の講演会情報

第14回JGMS講演会
2018年3月24日(土)
17:00-18:30
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